歯科の豆知識 vol.12 親知らずがイタイ! 2019年11月23日

〈親知らずについて〉

「親知らず」、あなたのお口の中には生えていますか?
おもしろい名前の歯ですが、正式名称は第3大臼歯(だいきゅうし)といいます。

ちなみに、奥歯の別名と生える時期は以下のとおりです。
第1大臼歯・・・・・「6歳臼歯」、小学校に上がる頃に生える
第2大臼歯・・・・・「12歳臼歯」、中学校に上がる頃に生える
第3大臼歯・・・・・「親知らず」、または「智歯(ちし)」、20歳ぐらいに生える
英語だと“wisdom tooth”(wisdom=知識、知恵などの意)

 

 

※画像は日本歯科医師会hpより

 

 

この親知らず、もともと無い方がいらっしゃいます。また、あっても骨の中に埋もれていて、お口の中には生えてこない場合もあります。
親知らずが無かったり、骨の中に埋もれてしまっていても、何も困りません。
やっかいなのは、中途半端に曲がって生えてしまった場合です。
そして、日本人の場合、顎が小さく生えるスペースが足りないことが多いので、この「中途半端にしか出てこられなかったケース」が多いのです。

 

※画像は日本歯科医師会hpより

 

 

〈親知らずの痛み〉
さて、前置きが長くなりましたが、
今回はこの親知らずの痛みについてお話ししましょう。

「親知らずが痛い!」と急患で見える患者さんが、毎月必ず数人はいらっしゃいます。
重症の場合は、お顔の半分が腫れていたり、「のどの方まで痛くて、ものを飲み込むのがつらい」とおっしゃることもあります。

この痛みの原因、実は「親知らず」という歯そのものから来る場合はどちらかというと少なく、むしろその周りの歯ぐきが腫れて、そこからのお痛みである場合が多いのです。
病名は「智歯周囲炎」となります。

歯そのものではなく、「周りの歯ぐきの炎症」ということですね。

 

 

〈どうしたらいいの?〉

さて、この腫れや痛み、どうしたら収まってくれるのでしょうか。
大事なことは2つです。

① 歯の周りを清潔に保つ
これは基本中の基本です。
歯磨きがちゃんとできていないと、そこにある食べかすをエサとする細菌がたくさん増えてしまいます。細菌が増えれば、歯肉の炎症が起きます。
まずは、しっかりとお手入れしましょう。

でも、ただでさえ、親知らずは奥の方にあって磨きにくいのに、曲がって生えてしまうと、きれいにするのは難しいものです。

そんなときにオススメなのが、先の細い歯ブラシです。
ちょっと変わった形の歯ブラシですが、1本あると重宝します。これを上手に使って、歯の周りや歯と歯の狭いすきまをしっかり磨きましょう。
なお、この歯ブラシは、ドラッグストアなどでは取り扱いがないこともあるので、購入を希望される方は歯科医院へお越しください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

② 免疫力を高める
患者さんにはよく例えを使ってご説明するのですが、「免疫力」と「細菌」はシーソーのような関係にあります。公園にあるシーソーです。

ご存知の通り、シーソーは、一方が下がるともう一方が上がる性質を利用した遊具です。
これは、「免疫力」と「細菌の繁殖力」との関係と同じです。

つまり
免疫力が下がる↘・・・・・・細菌の繁殖力が増す↗

反対に
免疫力が上がる↗・・・・・・細菌の繁殖を抑えることができる↘

このことは、歯科の領域の話に限ったことではありません。
風邪を引いたり、インフルエンザのような流行性の疾患にかかる場合も同じことが言えます。
身の回りには、細菌やウィルスはたくさん存在しています。
元気な時は、仮に感染しても症状がでないのです(症状が出ることを発症といいます)。
しかし、寝不足だったり、ストレスが多い日々を送っていると、免疫力が下がるので、発症してしまいます

規則正しい生活を心がけ、しっかり栄養を取り、免疫力を上げることを心がけましょう。
もちろん、そのように心がけたくても思うように休息が取れない場合というのは誰にでもあるものです。
そのために、必要な方には抗生物質(細菌を殺すお薬)を処方致しますので、お困りの際にはぜひ歯科を受診なさってください。

 

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