歯科の豆知識 vol.5 知覚過敏ってつらい・・・2019年4月20日

前号ではホワイトニングについて記しましたが、ホワイトニング後に出る不快症状の一つに「知覚過敏」があります。

 

<知覚過敏とは>

「知覚過敏」が起きると、冷たい水がキーンとしみて痛みを感じたり、朝起きて歯を磨こうと歯ブラシを当てた瞬間、電気が走ったような強い痛みが走ったりします。
この痛みを、専門用語では「電撃様疼痛(でんげきようとうつう)」と表現します。
噛み砕くと、「電気に撃たれた様な痛み」となります。
なんともこわい表現ですが、経験したことのある方ならお分かりになるのではないでしょうか。

では、冷たい水や歯磨きといった通常の刺激で、なぜ痛みを感じてしまうのでしょう。

 

 

<エナメル質は鎧(よろい)>

これを理解するためには、歯の構造から説明しなければなりません(図はシュミテクトHPより転載)。
歯の頭の部分は、エナメル質という、人間の身体で一番強い組織で覆われています。
エナメル質があれば、鎧を着ているのと同じ状態なので、しみることはありません。
ところが、何らかの理由でエナメル質の中の象牙質が露出してしまうと、刺激が神経に直接伝わって、痛みを感じてしまうのです。

 

<歯には「痛み」の感覚しかない>

よく患者さんにお話しすることなのですが、歯には「痛い!」という感覚しかありません。
たとえば皮膚であれば、「あたたかい」「やわらかい」「冷たい」など、様々な感覚がありますね。ところが、歯は痛みしか感じることができないのです。
ですから、刺激が加われば、それがむし歯によるものでも、知覚過敏によるものでも、「痛い!」と感じるわけです。

 

<なぜ象牙質が露出してしまうのか>

では、象牙質が露出してしまう原因はいったいなんなのでしょうか。
原因はいくつかあります。
まず、年齢を重ねるとだれでも少しずつ歯肉が下がりますので、知覚過敏の症状はどなたに起きてもおかしくないと言えます。また、冒頭で述べたホワイトニング治療も一時的には要因になります。

このほか、
・歯周病である
・歯を強く磨きすぎる
・気づかぬうちに食いしばっている
・寝ている間に歯ぎしりをしている
・噛み合わせが部分的に強すぎる
・歯垢がたくさんついている
・ストレスが多い生活である

このように、多くの原因があるとされており、原因は一つではなく、複数あることもあります。原因については自分ではなかなか気づかないことも多いので、「最近、歯がしみてつらい」と思ったら、歯科を受診しましょう。

知覚過敏に対する治療は、まずはお痛みを取ることを優先します。
それはあくまで対症療法で、そもそもの原因を取り除く必要がありますので、お口の中全体を拝見させてください。

 

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