歯科の豆知識 vol.2 歯石の正体ってなに? 2019年3月2日

歯科の豆知識 vol.2 歯石の正体ってなに? 2019.3.2

前号(vol.1歯周病とは)では、歯周病がどういう病気か、ご説明しました。
では、歯周病を引き起こす原因はいったいなんなのでしょうか。
その原因にはいくつかあるのですが、なによりも大きな原因を占めているのが、「歯石」です。
この歯石の正体、ご存知ですか?

 

<歯垢って食べかすのこと?>
順を追って説明してまいりましょう。

まず、食事をします。
歯を磨きます。

このとき、磨き残しのないよう、できるだけ丁寧に磨いたとしましょう。
それでも、歯はとても複雑な形をしていますし、歯と歯の間には隙間(すきま)もあります。
ですから、それを完璧に磨き上げるというのは、なかなか難しいことです。

そこで、どうしても磨き残しが出ます。これはやむを得ないことです。
この磨き残し、つまり食べかすは、歯周病菌の大好物なのです。

歯周病菌は、食べかすの周りに集まってきて、そこでコロニーという、言ってみればみんなで住む家にしてしまいます。
このコロニーは白っぽくヌルヌルしています。

こうなると、もう食べかすではなく、「プラーク」とか「歯垢」と呼ばれる物に変化しています。「歯垢」は、食べかすではなく、細菌の塊(かたまり)なんですね。

でも、この歯垢の段階ではまだ柔らかく、歯ブラシで磨くと、落とすことができます。
これはとても大切なところです。

歯垢は歯ブラシで落とせるのです。
ですから、まだ歯垢の段階で、食後にしっかりと歯磨きをして、歯垢を落とすことが大事なのです。

 

<歯垢から歯石へ>

さて、歯ブラシで落とせたはずの歯垢をそのまま放置しておくと、どうなるのでしょう。

柔らかかった歯垢が石灰化(せっかいか)といって、固く変化していきます。
石灰化は、唾液の中のミネラル成分と歯垢が混じり合うことによって起こります。

固くなった歯石は歯にこびりついてしまい、そうなると、歯ブラシでは落とすことができなくなります。

 

これは、大量に歯についてしまった歯石です。
当院に通っていただいている患者さんの、最初に拝見した際のお口の中の状態です。
歯石に歯が覆われてしまい、本来の形が見えません。
歯石の上に茶色い汚れも乗り、着色が強いですね。
これを丹念におそうじしていくと、こんな風になります。

 

 

ずいぶんキレイになりました。歯の本来の形がやっと見えましたね。
でも、歯肉が真っ赤に腫れています。しばらくすると、この腫れは引いてきますが、前号でお話ししたとおり、溶けてしまった骨を戻すことはできません
ここまでたくさん付く前に、歯科を受診することが大事です。

これで、歯石の正体がはっきりしましたね。
歯石は、分かりやすくいうと、「細菌が固まってしまったもの」というわけです。

繰り返しになりますが、歯周病は痛くない病気なので、痛みがないからといって安心せず、定期健診を受けることをおすすめします

次号では、定期健診ではどんなことをするのか、また、どのぐらいの

ペースで通ったらいいのか、などについて詳しく説明したいと思います。

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